先日の「落水防止」がらみで、私が体験した海での怖い話し・・・その1。
この話はご存知の方も多いかもしれませんが・・・
ある夏の日、ヨットで潮干狩りに行きました。場所は浦安三番瀬。海の真ん中に干潮の時だけ顔を出す、海の真ん中の砂浜です。干潟というヤツです。
まだ2歳の息子と家内、そして友人3名を乗せ、テンダー(ゴムボート)を用意して出かけました。途中、ボートの友人数艇と合流し海上ミーティングも兼ねていました。
ヨットは喫水が深く、砂浜の近くには寄れません。そこで、干潟から200mほど沖合いに錨を落とし、そこからゴムボートで渡りました。
干潟に近づくとボートの人たちは既に到着してるのが見えます。彼らは砂浜にボートを半分乗り上げて係留をしています。この辺りがボートの機動力で羨ましいところですね。
ゴムボートで近寄っていくと見知らぬ方が舫い(係留のロープ)を取ってくれました。そこで私は子供を抱え、干潟の方へ移動をしました。
数分後・・・・ふと見るとゴムボートの舫いが解け、目の前に漂っていました。内心(舫いロープは人任せに出来ないなぁ・・・)と思い、ゴムボートを取りに水に入りました。
ゴムボートまでの距離はほんの1m程度。手を伸ばせば届く距離です。そこで私は泳いでゴムボートに向かいましたが・・・・ライフジャケット(救命胴衣)の抵抗でなかなか前に進めません。そこで全力出して泳ぎました。だが、どれだけ泳いでもゴムボートまでの1mの距離が近づきません。遠くもなりませんが近づきもしないのです。更なる本気の本気で泳ぎましたが・・・ダメです。
そうです。風と潮に乗って、どんどん沖合いに流されていたのです。
泳ぐことに体力の限界を感じはじめ、「ダメだこりゃ・・・一度戻ってボートの人に頼んで取りに行こう」と思い、干潟の方を向きました。
その時の驚き・・・・言葉に表すのが難しいです。遙か沖合いで漂っている自分を初めて自覚しました。どうやっても泳いで戻るのは無理だろ??という距離があるのです。血の気が失せ、足元がゾォッとしました。既に体力もかなり使っています。
ライフジャケット着ていたのが唯一の救いでしたが、それでも50センチ程度の風波が来ると口元に水が掛かり、これがかなり苦しく感じます。ライフジャケットを着たままでも溺れる可能性があると、この時に初めて知りました。
もう残された道は救助を呼ぶしかありませんでした。しかし大声で叫ぶも・・・届きません。
あぁ。。。。こりゃダメだと悟り、気を落ち着かせて今一度考えてみました。
このまま流れると東京湾ど真ん中に行ってしまう・・・・。可能性としては流れを90度横切る方向へ泳いでみること・・・もしかしたら反対流もあるかもしれない。(リップカレント脱出の常套手段)そして、90度方向には浦安の護岸がある・・・・。泳げない距離ではない。(いや、実際は無理な距離)。
そう思って浦安市の護岸の方へゆっくりと泳ぎ始めました。が・・・・薄々「泳げる距離じゃない」という考えが頭の中で見え隠れし始めました。
そんな時、視界の端に一隻の船が見えました。
干潟に居た仲間のボートが助けに来てくれたのです。
「助かった・・・・・・」と、全身脱力感に包まれました。
しかし船が来てくれても、梯子を使っても登ることが出来ないのに驚きました。船上からライフジャケットを引っ張ってもらってようやく上がることが出来ました。想像以上に体力を消耗するものだと感じました。
今になって思うのですが、もしこれがうちの艇だけで潮干狩りに来ていたら?と考えるとゾッとします。
まず私は東京湾の真ん中に向かって漂流したことでしょう。
干潟に残された子供・家内・友人達は満潮に向けてジワジワと上がる潮位の恐怖に立たされ・・・最後は溺死だったかもしれません。
あぁ、コワ。生きてて良かったわい。助けてくれた船長、ありがとう。。。。
<<干潟に残った人たちの後日談>>
友人1「あれ、、、、あいつ、何を突然海水浴始めてるんだ??ああ、、、ゴムボート追いかけてるのか。」
友人2「ダメだって。ゴムボートが風を受けると一気に進むから追いつけないって。あいつ、ライジャケ着てるよな。じゃあ取り合えず見守ろうか。(どうなるか見ものだな)」
「あ・・・結局諦めちゃったよ。もっと早く気がつけって」
「おーーー、焦ってる焦ってる。もしかして助け呼んでない?(聴こえないけど)」
「あっらーーー、、、明後日の方向へ泳ぎだしたよ。パニクってるなぁ。」
「助けに行くかぁ。」
いや、、、助けてくれて感謝してますよ、ほんま・・・・・・・。
怖い話しその2に続く・・・・。
最近のコメント