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2010年2月11日 (木)

ヨットの舵を全分解。

CC30のステアリングがちょっと重めです。って、購入時から判っていたのですが、何となく気持ち悪いので全分解してみました。

前オーナーさんがいうに、この2年の間に舵の主要部分は全部補修してあるとのこと。重いのは水密を保つグランドパッキンが新しく、締めすぎなんだと思う・・・とのこと。

評判の高い業者が修理した事実もあって、このあたりは安心はして購入したんですが・・・中身を自分で見てみないと気がすまないタチ・・・・(*^^)

そこで、分解してみました。

P1000459_045

これが全貌です。扇形の部分はコードラントといって、ラット(ハンドル)と舵を繋ぐ金属ワイヤーを掛ける部分です。まずこいつをはずしてみようと思ったのですが・・・

P1000457_043 まず最初の難関が舵脱落防止のピンでした。こいつが抜けない・・・・。

ぐりぐりとパイプレンチで緩めたのですがなかなか緩んでくれません。

そこで、ヒートガン(工事用の温風ドライヤー)で温め、金属を膨張させ、そのうえでパイプレンチでぐりぐりやったら・・・やっと抜けました。

P1000445_031 コードラントを外したら、グランドパッキンが入っているスタフィングボックスとご対面となりました。しかし・・・ここで不吉な予感。スタフィングボックスがアルミ製なのです。対してシャフトはステンレス製。えーーー、海水にまみれ、ステンレスと同居している部分がアルミ製????電蝕しちゃわないのだろうか???防蝕亜鉛に繋ぐボンディングワイヤーもついていなし・・・・。舵が重いのはアルミ金物が電蝕してシャフトと張り付いているのでは???という最悪な状況が頭をよぎりました。かなり冷や汗・・・

そして、グランドパッキンとご対面。こいつを抜きましたところ・・・

P1000443_029

P1000442_028

あらーーーー、とっても綺麗。電蝕は一切なし。

だが、さらに恐ろしい事実が・・・

グランドパッキンを抜いたのに舵が回らない!!!!

え、、、だから何だですって???いやいやいや、ゆゆしき問題ですよ。グランドパッキン抜いても重いってことは、アルミ金物の内部とステンシャフトが張り付いている以外は考えられない・・・・たらぁ~~~~~~~。。。。。ぴーーーんち。。。

というわけで、スタフィングボックスを分解に入りました。だが、こいつが抜けない!!!さらには船体と接続されているゴムチューブも完璧に固定されちゃっていて抜けません。。。。

こういうときにはどうしたらいいか・・・ホースを抜くのに専門ツールがあるのですね~~。ピックツールとかホースリムーバーとか呼ばれているツールです。友人が使っていて、それはそれは便利であると聞いています。。。が、、普通の工具店やDIYショップでは売っていないのです。前々から欲しかったので、、、、通販で購入することに・・・。それが

P1000437_023

こいつです!

って、、、もっと凄いツールをご想像されましたでしょうか?

ええ、先端が曲がった千枚通しですよ、簡単にいえば。。。ええ。

で、この先っちょをホースの隙間に突っ込むのです

P1000438_024

こーんな感じにうりゃぁ!と。

しかしまあ、冗談抜きでこのツールには感動しました。今までホース類を外すのは汗水垂らしていたのです。だが、これを突っ込み、固着面をぐるりと一周隙間を作るように回します。(決してこのカギで引っ張りあげるのでは無いです)すると、固着がムニュムニューーーという感触と共にはがれるのが実感できました。たったこれだけのことで剥離完了です。

いやーーーー、凄いぞこのツール。激安モノ選らんだので、2本で

980円

だ!凄いコストパフォーマンスです。

これだけ使えると、先っちょが曲がった千枚通しというイメージから

「うりゃ!つっつくぞ!ワレ!」

と、物凄いオーラを放つデキル奴に見えるではありませんか。(え、見せません??)

さて、、、続きます。これを剥がしてもスタフィングボックスが抜けません。シャフトと固着しちゃっています。ほんまもんで冷や汗ダラダラです・・・・。

ここまでやって抜けません。じゃ洒落になりませんから、抜くしかありません。

こういうときは素直に専門道具を使わないとダメっすね・・・・

P1000441_027

今度はハサミ虫でございます。ギアプーラーという引っこ抜く専門用具です。滅多に登場しないバッターがホームラン打ったような喜びを感じます。(工具が好きで・・・滅多に使うことは無いのですが・・・何故か持っているのです。。。。) 

で、ようやく抜けました。中身をみると・・・・

P1000418_004

ありゃ、、、錆びなど一切無い。電蝕が原因じゃなかった!!!(ほっとしました)

原因は、中の樹脂ベアリングが何かの原因で膨張し、シャフトとの隙間がなくなってしまったことでした。グランドパッキンに含まれる油が落ちてベタベタになっていたので、油を吸って膨らんだのでしょうか。それとも樹脂がナイロンか何かで含水しちゃったんでしょうか?

なんにしてもこれの交換が必要になりました・・・・。が、、、交換するのは勿体ない。(金銭的に。。)どうせ交換するならば、中を削ってみるほうが・・・・。

旋盤のある工場へ持ち込んで中ぐり(中を削ること)をしてもらおうかと思ったのですが、まずはマリーナの修理業者マリンエ●セルさんに削れるか聞いてみました。 そしたら

「今まで同じトラブルを他の艇でも何度も経験しましたよ。削れますよ。」とのこと。

ということで預けて帰ることにしました・・・。

<数週間後>>>>

削ってもらって、まずは嵌めてみましたら・・・ピッタンコ。おお、いいじゃな~~い。

んで、この逆を辿って組み上げて終了。

その途中の作業でひとつ業者さんに教えてもらったこと・・・・。

異種金属だけでなく、ステンのターンバックルなど、焼きつきや塩カミが予想される部分には「TEF-GEL」という薬品が凄く良いとのこと。

P1000447_033

YBMのコジマさんで売ってるよ・・・とのことで買ってきました。2000円チョイでしたでしょうか?こいつはテフロンをジェル化したもので、ねじに塗ると隙間を埋めてくれるとのこと。だがネジロック剤やシリコンシーラントと違い固形化はせず、永久にジェル状を保つらしいです。塗った後にネジの頭を塗装することも可能らしいです。なかなか良さげです。

P1000448_034

こんな感じの白っぽいドロッとしたジェルです。一本あると個人ユースなら相当長い年月使えそうです。

そんな感じで組み立ても終わり・・・ラットを回してみると・・・ワンダフル!!指一本で回せるようになりました。良かった良かった。

 

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