今日は私がレーダーレーダーと騒いでいる訳をご紹介させて頂きます。
もともと、15年来の友人であり、、、、レーダーにかけたら超がつくほどオタクな奴がいます。
舵社ボートクラブ誌に連載執筆中の小川淳氏その人なのですが・・・・彼のレーダーシステムを見せてもらったのが始まりです。彼のはまあ凄いのなんの・・・・。彼のレーダー画面画像をアップ許可貰えたらご紹介させて頂きますが、、、イージス艦さながらです。
そんな彼も、むか~~しの普通のレーダーからスタートしました。思い返すと、、、私が先にレーダーを購入し、それに刺激受けた彼がもっと良い機械を購入し・・・そしてまた刺激受けて・・・の繰り返しで、ある時に2歩も3歩も先の世界にぶっとんじゃった彼がいました。
さて、その昔のレーダー・・・といっても、今でも普通レーダーといえばこういう画像です。クリックすると大きな写真になります。
これで映ってる像(エコーといいます)が何か判れば・・・・プロです。ええ、プロの世界ではこれの解読を専門職にされている方もいる訳で。
正直言って高速移動するプレジャーモーターボートではじっくり見ている暇も無いので何が何だか???です。
医者がレントゲン・超音波エコーを見て理解できても、一般人にはただの濃淡にしかみえませんよね~。それとまったく同じことですね。
この理由から「レーダーなんて不要」という考えが広まったに違いないと思っております。
でも、有ると無いとでは大違い。電子の目で監視できる楽しさを得て、航海中はずっと見てましたね。慣れると虚像などもわかってくるものです。。。。
しかし、10年ぐらい前に、エコーの強さが色分けされるようなレーダーが登場し、だいぶ判りやすくなりました。
でも色が付いただけで何がなんだか・・・・・・。ですが、このタイプのレーダーが出た時は興奮して小遣い貯めて購入まっしぐらでした。はい、ヲタクです・・・。
そして、5年ほど前でしょうか。画期的なレーダーが登場します。
レーダーにGPSとコンパス信号を入力し、それをエコーデータと共にデジタル処理します。
そして「動いているものは動く、止まってるものは止まってる」という画像処理を施します。
これを「真航跡機能」とか「トゥルーモーション」とか・・そういう名前で各社売り出しています。
この画像の青い影は、エコーの過去5分間の軌跡です。止まっているものは影が無いか短い。速いものほど影が伸びます。これがあれば、AISよりもずっとずっと役に立ちます。AISは電波を発してくれていなければ映りませんが、これだとブイから本船まで全てが映り、速度・針路などは青い影を見れば一目瞭然です。
この機能が出来て、「すげぇものが登場したな・・・・・でも価格が・・・・・」と諦めておりました。
諦めた理由は、「分かりやすいとはいっても、分かりにく・・・・」という感覚がイマイチ拭えなかったのです。だって、上記を見て、どれがブイか陸地か・・・・?判りますでしょうか??
ですが・・・・この機能にGPSチャートプロッターが同居した製品が登場しました。
そう・・・GPS海図の上にレーダー画像が重畳表示出来るのです。
今まで掲示した画像は・・・・実は東京湾の玄関口、観音埼の映像でした。
あのエコーだけで観音埼?と分かった方は相当な通だと思います。
でも上記の画面見たら・・・一目瞭然ですよね。地図が載ってるのですから本当に判りやすい。
さて、上記の画像を撮影したのは日曜日でした。日曜は何時も半端ない遊漁船が本船航路にはみ出しています。その横を巨大船が通り抜けるのですから、見ていてハラハラです。その様子を写真に収めたものです。
左の画面はGPS海図の上にレーダー画像を重ねたものです。しかし、海図にレーダーを重ねると・・・・エコーなのか元々の海図情報なのかがパッと見て判りません。そこで2画面併記として、右にレーダーの生画面を表示させています。
尚、この画像にはAISデータを入れてませんが、AIS入力をすれば、左右の画面にAISシンボルを表示することもできます。
さて、先の小川氏のレーダーですが・・・・本船用も使うような機種をプレジャーに乗っけています。それはそれは凄くって・・・こんなことがプレジャーで可能なのか?????と思い・・・・・もう理性を抑えること出来ず、貯金崩してまっしぐらという感じでした。汗。。私のレーダー(上記の画像)と、彼のレーダーを比べると月とすっぽんでけどね。。。(彼の許可が出たら、そのお月さまの写真をアップします)
そんな訳で、航海中は殆ど周囲のワッチはレーダーに頼ってます。但し、網や漂流物は無理なので直前だけ肉眼ワッチもしてますけど。
さて、レーダーに頼る理由は実は二つあり・・・
一つは便利だから。
二つ目は・・・・かなり高度な性能になってきたけど、やっぱり無線機です。調整が欠かせません。この波ならばどの程度のモノが映るか???小型船は??大型船は???ブイは???竹竿は????それらの映り方を晴天の下で常に体に叩き込まないと、いざという時に使うのは怖いです。。。その為に可能な限りレーダーワッチをして、レーダーの限界性能を把握に努めている感じですね。
ところで、この記事を書いたのは、私自身情報集めるためにネットで情報漁りました。しかし、真航跡機能の情報は殆ど得られず・・・・海外サイトのヨットマンのページをパソコン翻訳使いながら閲覧して苦労したのがきっかけです。
メーカーも海外じゃ相当宣伝してるくせに、国内だと売る気すらないように見えます。これじゃ流行る訳ないですね。
この記事をご覧くださった方でレーダーお好きな方や興味ある方・・ぜひ情報交換したく存じます。。ご一報頂けるとありがたいです。
2011.12.12加筆
小川氏より画像アップ許可を頂きました。(有難う御座います)
さて、その前に、レーダーアンテナによって何が違うのか?のご紹介を・・・
レーダーアンテナには、屋根の上でクルクル回るのが見えるタイプと、丸い円盤状のタイプがあります。前者をオープンスキャナ、後者をレドームといいます。
性能で言えば、アンテナが大きいほど良いのです。ですので、オープンスキャナタイプで、クルクル回る棒の長さが長いほど高性能なわけです。尚、円盤状のレドームタイプも、フタを開けると中で小さなアンテナがクルクル回っています。理屈は両者同じです。よって、レドームも大きな物ほどアンテナが長くなりますので高性能と言えます。
ただ、性能に比例して「電気を食う。図体がでかくなる。重くなる。騒音大になる」と考えて間違いありません。よって、バッテリ駆動主体のヨットですと、現実的にはレドームタイプに落ち着くと思われます。
さて、アンテナの長さが長いと何がどう違うかというと・・・下図の通りです。

アンテナが長いと「ビーム角度」と呼ばれる捜索範囲が鋭くなります。ビーム幅が狭ければ狭いほど、物標の分離性能が高くなる訳です。また、遠方においても、凡そ「点」で表示されるようになります。レドームの場合はその辺がプアなんですね。
さて、小川氏のレーダーですが・・・・4-5年前でしょうか?KODENのプレジャー用としてはハイエンドに近いスキャナータイプを装着しました。
その時の画像がこちらです。
どうでしょうか。私のタイプに比べて、中心より遠い部分のエコーが小さくなってるのがお判り頂けると思います。よって、パッと見た瞬間に「キレがよい」「見やすい」と感じます。
尚、この画像は江戸川河口。右に葛西臨海公園、左に東京ディズニーランドの岸壁を望む場所です。岸壁の横に点々とあるエコーは、なんと「竹串」です。オープンスキャナーだと竹串でもここまでキレ良く出るんですよね・・・・。私のレドームも写らない事はないけど、慎重に調整し、且つ海面が穏やかな時に限られてしまいます。(事実上は殆ど写らないです)
このレーダーを購入されたとき、一緒に航海してみて「なんつう兵器を装備しちゃったんだか・・・。思い切ったもんだなぁ・・・すげーーー。」と心底感心しました。
しかし彼のヲタク度は留まるところを知らずでした。
上図、レーダー画像だけを見ても、どこから何処までが陸地なのか判りずらいです。実際の場所はというと・・・
こういう場所なんですね。
もっと判りやすく表示は出来ないか?ということで・・・・なら、地図とレーダーを重ねてしまえ。ということで、重畳可能な製品が発表されました。それに飛びついた小川氏・・・。
その時の画像がこちらです。
いやあ、まったく凄いです。。。緑の陸地に黄色のエコーが重なって表示されています。場所は東京お台場裏付近で、岸壁もかなり複雑怪奇な場所ですが・・・・こう表示されると一目瞭然です。また、更にスゲェと思ったのは、KODENの本船にも使う用途のレーダーを購入したことです。操作には免許も必要なタイプです。彼はティアラ36という36ftのアメリカンスポーツフィッシャーに乗ってますが、FBのエンクロージャーの幅とアンテナの幅が同じぐらいある化け物オープンスキャナーを乗せてます。その効果たるや絶大で、これほどのキレが得られるとは・・・・・・・・・。
これを見せてもらった時、ワタシは寒気すら覚えました。凄い。凄すぎる・・・。
さて、その化け物アンテナの画像ですが・・・
こちら、東京国際空港(羽田空港)の沖合い新滑走路横の写真です。地図重畳と相まって、非常に見やすいです・・・・。しかし、海上のエコーがブイなのか船なのか??それがイマイチ判りません。そこで登場したのが先にご紹介した「真航跡機能」でした。
真航跡をONにすると・・・・。もう一目瞭然という感じに変化すると思います。ちなみに、ワタシはコレを見て理性のタガが吹っ飛びました・・・。物欲全開、寝ても覚めてもレーダーの情報集めるという日々が・・笑。
さて、最後にワタシのレドームレーダーと、彼のハイエンドオープンスキャナーの似たような地点での比較画像です・・
左手が彼のレーダー。場所は中の瀬航路出口をアクアライン~風の塔に向かっている時の写真です。
右手がワタシのレーダー。風の塔横から、アクアライン海ほたるに向けて帆走中の写真です。
近場(円の中心)の画像はそう大差なく見えますが、円の外側のエコーの大きさが全く違うのがお判り頂けるかと思います。また、実際に使用した感じだと、キレ以外にも安定度も全く違うし、感度も別物と感じます。自分の感覚ですと、レドームとオープンスキャナの間に大きな溝があると感じます。逆にいうとオープンスキャナならば普通のモデルでも十二分に満足できるとも感じます。 が・・・ワタシの場合はヨットにオープンスキャナは流石に・・・と感じ、レドームスキャナの大型タイプを選んだ次第でした。でも「レーダー画像見てニヤける」という特殊なフェチじゃなければ、衝突防止にはレドームタイプで十二分な恩恵を受けられるとも感じます。笑。
最後に、地図重畳について感じたこと・・・・・
KONDE製品(現行の2200型)と、FURUNOナブネットの両者が地図重畳型ですが、設計思想に大きなさがあります。
KODEN製品はあくまでレーダーの補助としての地図重畳となっています。その為、必要最小限のデータしか載っていません。しかし、これが実に賢い設計でして、地図が余りに複雑かつカラフルな表示だと、一体どれがエコーなのかが判別しにくいのです。その辺りが非常に的確なコンセプトだと感じます。
FURUNO製品は、GPSプロッターの上にレーダーを重ねるという感じで、レーダーは補助です。パッと見ると、電子海図の上にレーダーが載るので、この方式が一番のように感じますが、実際には余りにも情報が多すぎて、近づいてくる船舶(エコー)に気が付かなかったということも多々発生しました。また、GPSプロッタの上にレーダーを補助的に重ねるだけなので、レーダーの調整は一度レーダー画面に移らないと出来ない仕組みになってます。
また、気が付きにくいポイントとして「GPSプロッタとレーダーの見る範囲は大きく違う」という現実があります。GPSプロッタは狂水路や浅場ではズームして近場だけを見ることはありますが、多くの場合もっと広い縮尺で見ることが殆どです。反面レーダーは衝突防止には0.75-2マイル範囲が殆どという感じで、6マイルレンジ以上は滅多に使いません。(外洋航海や沿岸より5マイルぐらい離れた長距離レグのワッチでは別ですが。)
それ故、KODENの作りこみの方がレーダーをレーダーとして使えるので上だと感じます。その代わり、別にGPSプロッタが欲しくなる現実にぶち当たります。因みに小川氏はパソコンディスプレイ・KODEN製GPSプロッタ・レーダーと3つの画面を並べて運用されています。(壮観です・・・。)
しかしながら、ヨットのコックピットで使う場合・・・を仮定してみると、兎に角設置場所に困ります。若干の不便も感じながらも、GPSレーダープロッタとして一つの画面に押し込めたFURUNOナブネットの利便性が光ります。ただ、十得ナイフみたいなもので、専用機には勝てないな・・・という不満も残ります。
結局、フネのタイプ・運用状況によって、どれが一番とは言えませんね。ただ、レーダー性能そのものはKODENもFURUNOも素晴らしい事に間違いないと感じます。
ps 上記画像の所有権は小川氏に帰属します。転載、転用はご遠慮ください。
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