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2012年12月 6日 (木)

レーダージンバルマウントテスト

うちの艇はレーダーアンテナをジンバルで吊るすように装着しています。

が・・・・・・今までジンバルマウント搭載艇を殆ど見たことがありません。

理屈的にいうと、レーダーの垂直指向角度は20度しかありません。

つまり、ヨットが10度もヒールすると指向角度から外れる訳です。

だが、それについての弊害を聞いたことがありません。

メーカーのレーダーマウント製品を見てもジンバルは商品として存在しません。

船の行く先々で「ジンバルまで必要なの?」と何度も聞かれたことがあります。

やっぱ不要なんじゃね?ジンバル??

と、装着していながらもそう思ってしまう今日この頃でした。

だが、理屈から言って・・・・必要だと思うんですよね・・・・・・

ハッキリさせるためにテストしました。

結論としては

ジンバルの効果甚大!!!!

と明らかなるテスト結果が出ました。

マリーナで係留時に左方向(270度方位)にあるコンクリート岸壁がどう変化するかをテストしてみました。

S

Map

クリックすると大きくなります。

どうでしょうか???全く違います。

レーダーについて、あまりに誤解(悪い意味での風評)が多いのですが、ヨットに関してはジンバルの有無もそれに拍車を掛ける可能性が大いにあると感じました。だって、ヒールしたら写真の通り270度方位は映ってないんですから。それでいて前後は映ってる。
これじゃ
「レーダー見たって訳判らん」
という風評に繋がる訳です。
ヨットだけじゃなくてボートもそうですよ。プレーニングに移るまで、もしくは、バウアップして走るタイプのボートに対して、停泊時に水平になるようにアンテナを設置したら前が映らないと思います。上の写真の角度で映らないんですから。


都市伝説?を検証する目的でテストしたのと、後日自分が読み返した時に客観性もたせるため、堅苦しいようですが以下に論文形式でテスト結果を載せます。

堅苦しい形式なので、

そういうの嫌いな方はこの先は飛ばしてください(笑)















<テスト目的>レーダーの垂直指向性は20度と言われるが、ヨットは20度以上の
ヒールを日常として行う。
それで果たして左右のエコーが正常に得られるのか疑問である。 そこで今回、ヒール状態にてのエコーを確認することにした <テスト条件>桟橋に係留中、ジンバルマウントを空方向へヒール状態を想定して傾けた。
水平・通常のヒール・最大ヒールと3種の角度を設定し、
それぞれの角度に於いてGAINを「マニュアル100%/65%/オート」の3種類でエコーを観察した。 STCは日常航行時に最大公約数として使用する数値55%に設定。 FTCはゼロ。混信除去はONにした。レンジは0.125NMレンジ。
2012年12月東京。気温12度、晴れ。
実験者 Adagio & キャプテンWO

<機材>FURUNO Navnet3D MFD8マルチファンクションディスプレイ 空中線:DSR4D 4kw24インチデジタルレドームアンテナ 外部方位センサー サテライトコンパスSC-30 <結果> まずは添付写真を参照ください。 写真左はジンバル水平時。 青矢印は対岸のコンクリート岸壁。大変に反射率の良い場所のため これのエコー消失は大問題であると感じるところである。 写真中ほどは通常ヒール時。ジンバルの角度は真ん中下段の写真の通り。 この状態で対岸のコンクリート岸壁は完全消失。唯一、岸壁上の地上高のある 造船用大型クレーンのみのエコーが見える。 一方、方位0度及び180度のエコーは全く変化が無い。 この写真はオートモードでの写真であるが、マニュアル感度60%/100%で試した ところ 60%時はオート状態とほぼ同一。100%で弱く岸壁が表示される程度だった 写真右はクローズホールド時に起こり得るだろうヒール角度を想定した。 写真右下段がその時のジンバル角度。 写真の通りアビーム方位は殆ど映っていない。 マニュアル感度100%にしても方位270度のコンクリート岸壁は消失したままだった。 <考察> 写真で見る通り、浅いヒール時でも明らかなる感度低下が起こるのが確認された。 一方、方位0度180度はほぼ変わらず。 今回、方位270度方向は空中線が空を向いた状態であるが、方位90度方向は ごく近い海面を向いている状態である。桟橋の関係上、90度方位は地上のために エコー観察が難しく今回の考察外としてあるが、予想としてはレーダー波が 海面に反射(スキップ)し、異常伝搬する可能性もある。 そうすると、0.90.180.270度の4方位全てにおいて実質ゲインが違う形になり、 直近の海面に空中線面が向く方位(今回は90度方位)は異常伝搬も考えられ 一つの画面の中で方位により大きく感度が違うという現象が発生する。
よって人間の視覚において錯覚が起こりやすく、エコー判別が極めて難しくなると予想される。 また、船は波によりローリングが付きものであるため、風によるヒールがなくとも 上記の理由で安定したエコー表示が難しくなる可能性も予想される。 実験者結論としては、ヨットにはジンバルは必須であると痛感する次第であると共に エコー安定の為のスタビライザとしての効用も有るのではないかという予想もするところである。

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コメント

レーダーのジンバルて大切なんですね、大概マストに装着は固定が多いですね。
横の岸壁が消えるには、驚きました。
私のも、オーニングの上に取り付けてますが、ジンバル機能は有りますが、
塩の影響で、動きが悪いです、それでは、ピッチングにも対応できる、全方向型ジンバル
が必要に成るのでは、考え過ぎかも知れません。

K.Sさん、こんにちは。

自分も「ここまで違うのか」と驚きました。何となく効果はあるんだろうなぁ・・・ぐらいには
思っていたのですが、きっちりと比べるとまさかここまでとは。

ピッチングにも対応する全方向ジンバルですが、有れば画像安定には繋がるとは思います。
機走中、進行方向のエコーがスイープ毎に現れたり消えたりすることがよくありますが、単に反射波がギリギリのレベルの対象物と思っていました。
でも若しかすると、ピッチングによって上記写真のような事が起こっていた可能性はありますよね。
ただ、平均すればピッチング方向は垂直指向角内に入るでしょうから、ジンバル省略は大きな問題は無いとは思います
(実験した訳じゃない私感ですが)

初めまして。
アダージョ様のブルグで大変勉強させていただいております。
先月、『レーダー・マスト・ヨット』で検索したらアダージョ様のブルグを発見しました。
我が艇も仮にレーダーアーチの上に固定でレドームアンテナを取り付けていますが機走か微風かフリーでの帆走時にしか役に立たず宝の持ち腐れ状態です。
当方は最近ほとんどダブルハンドで乗っていて、遠方へ行くときはシングルで回航し現地で相方と待ち合わせが多く、外洋でのヒール状態では15分のうたた寝で凌いでいて、疲れたら機走やアンダーキャンパスの機帆走にしてレーダーを使えるようにしてワッチアラームに頼って1時間程度の休息をとります。まだ若手?なので体力でなんとかやりくりしている状態ですが腰を痛めてからそろそろいろんな物に頼ろうかと思い始めました(笑)
マストへジンバルを付けて移設しようと思いながら早や5年、やっと来シーズン前に移設できそうです。
当方、関西セーラーです。また関東へお邪魔するときはお声がけさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。

オーシャンセーラーさん、はじめまして。カキコミ有難う御座いました

外洋でレーダー駆使されているようですね。当方、外洋が遠く・・・レーダーの殆どを本船銀座での事前察知に使用しております。外洋でレーダーワッチ機能を使用して1時間程度の休息というのを実行してみたかったのですが・・・実際に可能なんですね。大変参考になります。
 東京湾方面お越しの際は是非お声掛けお願い致します。

午前中にもアダージョさんに送信いたしましたが、再度メイルいたします
 1)小生もKoden MDC-2041を34ftトレッカに装備する計画を女房には内緒で進めています。west marineにはすでにジンバルは注文しました、送料も含めてしめて合計580ドル少々でした。到着が
待たれます。
 2)Koden製品はGPSとレーダー画面が重畳するというアダージョさんの記事が購入のきっかけです。
ところでKodenのレーダーはパルス発射を止めている時はGPSプロッターとして機能するのでしょうか?
それとも別途専用のGPSプロッターを購入する必要があるのでしょうか? 
 2~3年後に退職予定です、その後はシングルでのんびり南太平洋~大西洋~地中海とロングを夢
見ています(これも古女房には内緒)。安全を考えたら航海機器は複数装備した方が安心ですので
レーダーとは独立したチャートプロッターを載せようと財布と相談中です。
 以上です、よろしくご指導ください
 

こんにちは、書き込み有難う御座います。

さて、2)の件で御座いますが、GPSプロッタとレーダーの重畳に関しては2200シリーズからになると思います。900シリーズは不可だったと思います。
電波を止めている際の挙動は、もう一つのスレッドの方に記載させていただきました。

ところでレーダーを使った自分の感想ですが、プロッタとレーダーは別の方が扱いやすいと感じております。理由は二つ。一つはレーダーワッチするレンジと、海図情報が欲しいレンジは全く別だということです。入港などの時はほぼ同じなのですが、通常の航海ですと、ウエイポイント以外は2マイル先の海図情報よりも20マイル先の方が欲しいですし、逆にレーダーは20マイル先なんて実用になりませんので・・・。
もう一つに、航海計器の故障の際に一蓮托生になってしまう面です。
予算がつけば別々の方が使いやすい・・・と感じます

予算の配分ですが・・・これは船長によって運行スタイルが違うのであくまで自分の感想ですが・・・・もし私が新たに購入すると仮定すると、GPSプロッタの予算をサテライトコンパスに注ぎ込みます。GPSプロッタはポケットGPSでもいいかも?と考えています。サテコン+レーダーの組み合わせだと1+1が4か5ぐらいに膨れ上がるほどレーダー機能が強化されると感じております。
ご参考になれば幸いです。

ところで南太平洋~地中海・・・素晴らしいですね。 ぜひその際はネット経由で結構ですので旅の情報頂ければ幸いです。

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