スラスタ本体の取り付けはディーラーにお願いしましたが、電気配線は自分でやってみました。
まずバウスラには電源が必要になりますが、私はバウのVバースの下に新たにバッテリを増設しました。
スタンにある既存のバッテリからケーブルを引っ張るのが一般的なんだと思いますが、距離が長くなる為、極太(説明書によれば8m以上は70スケア)ケーブルをインストールするのは配線も難儀ですしケーブルの価格も相当な金額になりますので、バッテリ増設という方向で進めました。
Vバースの下に新たなスイッチとブレーカーを取り付けるため、ジグゾーとホールソーで穴をあけ・・・
こんな感じに並べてみて・・・
その裏側は
こーんな感じでバッテリを搭載し配線をしていきました。
バッテリへの充電は陸電のみに頼ることにし、ウエストマリンから一番小型の3ステップコンピューター式AGM対応6Aチャージャーにて対応。お値段99ドルでした。
一方、中枢になるのは「中継ボックス」のリレーボックス。
噂ではEXTURNの親会社はSIDE-POWERで有名なスラスタメーカーと聞いた事があるのですが、リレーボックスの中身の部品は全てSIDE-POWER製でした。
スラスタ本体の方はこのような感じになっています。スラスタから出る配線とバッテリから来る配線をこの中継ボックスにまとめるだけ。シンプルな構造でした。
テスト航行に向け、これらをとりあえず設置をし・・・
なんとか完了してテスト航行へ。
ドキドキのテスト航行・・・・・
さて、以下は写真なしでスミマセン。
テスト航行に先立ち、今回陸に船を上げる前に潮流・風の無い日を狙って速度計測を行って来ました。
エンジン回転2400rpm~2800rpmまで100回転ごとに速度を計測。
外因を排除するため、運河内の開けた内水面にてワンレグ200mほどのドーナツレグを往復しながら、GPSで平均を出す方法でやってみました。(往復するのは潮流・風の影響を可能な限り少なくするため)
また、GPSの数値を見ながら、例えば6.0ktを示している場合でもGPS誤差で瞬間的に5.8ktや6.2ktなどを示すことがありますが、それは切り捨てて変動の中間値を記録してみました。
ただ、スラスタ取り付け前後で2点ほど条件が違います。
- 船底清掃を同時に行ったこと。
- 取り付け後のテストはクルー1名増え、船の重量が微妙に違うこと。
ただし、前回の船底清掃は今年1月末に行い、まだ2ヶ月しか経過しておらず、陸に上げても全くと言ってよいほど汚れは見られませんでした。ペラにも藤壺はおろか、海藻なども付着しておらず健康な状態でしたので、船底の状態はほぼイーブンと言って良いと思います。
さて、そんな感じでテスト航行、そしてその結果です。
まずスラスタを取り付けたことによる航行速度の低下はどれぐらいなのかを調べました。
メーカー曰く「10ktで0.1kt-0.3kt程度。水槽実験値ではフォールディングプロペラと同等以上の低抵抗を実現。トンネルスラスタよりも抵抗は低い」と言っています。ホントカヨ??という気がします。
注目の結果ですが・・・・
その前にひとつお願いが・・・・。
このテストはAdagio号でガーミンのGPSを用いて行い、エンジン回転もボルボ純正の100回転刻みのタコメーターで読み取っています。つまり計測誤差はあると思いますし、このスラスタの性能を担保するものでもありません。また、このスラスタを持ち上げる?つもりもなく、ただただ目の前で起こった事とAdagio迷走船長の感想を述べたものです。このテストは参考までにして頂き、「オレもやってみたけど全然結果が違うぞ」などのクレームはご容赦願います。
さて、結果発表です。
スラスタなしの場合、2400回転6.1kt~2800回転6.8ktというデータでした。
スラスタを取り付けたら・・・・・
うーむ・・・・発表してよいのか・・・・
発表するにも勇気がいるぞ・・・・
うーむうーむ・・・・・
計測誤差があるだろうし、船底清掃を行っているという状態の違いがあるのですが・・・
有意差が認められない
というのが正直な感想です。
え?うそでしょ?ディーラーから金もらってんじゃないの??と思われるかもしれませんが、ディーラーに金は払っても貰ってはいません。(爆)
最初は目を疑いましたが、2400回転から100回転ごとに数値を計測してき、結局最後まで取り付け前と同じデータなのですよ。ちょっと信じられません。書いている本人が何かテストに間違いあったのでは?と思うほどです。
また、マリーナに入り、いつものところでクラッチを切り惰性で走ると、行き足が無くなる場所も何時ものところでした。
抵抗らしい抵抗が(私の鈍感なセンサーだと)感じられないのです。
船底清掃が効いているのか?とも思いましたが、船を上げた感じだと非常に綺麗な状態だったので、それも違うような。。。。よしんばその影響だったとしても、一番水の綺麗な1月末に船底清掃をしたばかりで、2ヶ月しか経過していません。だから速力低下があったとしても、冬場2ヶ月の汚れ程度・・・とも言えます。
どちらにしてもかなり驚きました。
次に使用感。
当日は無風に近い状態だったので本番での威力はまだ判りませんが、、、恐ろしく便利です。
スラスタを取り付けた後の最初のバースの出し入れの時からして、車の車庫入れぐらいの感覚で全く緊張感がありません。バウが自在に振れるというのは、こんなに便利なものなのかを思い知りました。
また、アスタンでバースに入れ、スタンのロープを掛けている間にバウが流されてもボタン一つで戻ってきます。文句を言わないクルー?が一人出来た感じで、シングルハンドにとっては物凄い安心感です。
スラスタの推力は・・・・口では非常に難しいけど、バウを桟橋で押さえながらスラスタを回してみると、海に引っ張り込まれそうな感覚です。これだけの推力があれば、常識的な風の日なら何とでもなりそうな気配です。(これはまだ試してないので推測ですけど)
総評としては「人柱覚悟だったけど、天の恵みが降りてきた」って感じで満足感150%で御座います。
ps くれぐれも「参考程度に」読んでください。トップセイラーとかが乗ったら「ウワッ、こんなに抵抗感増えるの?」と言うかもしれないし、理系の計測系のお仕事の方が調査したら「明らかなる有意差があるじゃないさ」と言うかもしれません。あくまで迷走船長の感じたことでございます。(書いている本人が「いまだに信じられん」と思うほど速度低下が無かったので、何か間違いがあるんじゃないかと?ブログアップしてよいのか??と悩んでしまいました。)
~~~後日加筆~~~
風のある日に実地テストしました。こちら。
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