ミシン選び
ミシン選びについてご質問頂きました。
考えてみると、私が購入した時は自分自身が全くの初心者だったので、ミシンと言っても何を買えば良いかサッパリ?という感じでした。
その為、購入するにしてもサッパリ見当がつかづ、新宿にあるプロショップ(でも激安)を訪問し、サンブレラのティラーカバーを持参し「これを縫うには?」と聞いてみました。
そのようなスタートでしたが、結論としては今使っているミシンは大満足しています。
ただ、全くの初心者が買うにはオーバースペックの物を買ってしまったのも事実です。
それを踏まえ、自分が調べた時に感じたミシン選びについて列記します。
*ミシンの種類*
ミシンの種類には家庭用・職業用・工業用と3種類あります。
ですが一般家庭で使用するには工業用は無理で、家庭用か職業用から選択することになります。
*ミシンの機能*
まず家庭用ミシンですが、これには激安モデル・定番モデル・高級モデルと3つあるようです。
ヨットでミシンを使う場合ですが、「新規に買う」ことを考えると、激安モデルは避けたほうが良いと思います。
その理由はパワーにありまして、Gパンのような生地を数枚重ねて綺麗に縫うのは「博打」に近いらしいです。可能な時もあれば不可能な時もある。手回しで一針づつ縫えばそういうミシンでもそこそこ対応出来ちゃうかもしれませんが、なんせ洋服と違って寸法の大きい物を縫うことが多いですので、ある程度のパワーが無いと「やってられん・・・」となるような気がします。
そうすると、定番モデルか高級モデルになりますが、高級モデルは不要かな?という気がします。
その理由は、高級モデルはパワーがある事は勿論ですが、刺繍が出来たりジグザグ縫いがコンピューター制御で出来たりします。ですが、まずこれらの機能を使うことは無いでしょう・・・・。自分がミシンを始めてから、市販の洋服の縫い目を気にするようになりましたが、99%の部分は直線縫いとロック縫いの2種類で出来ています。ロック縫いは「ロックミシン」を使わないと結局は満足行かないので、結論として、「ちゃんとした直線縫い」が出来るミシンがBESTという気がしました。
よって、家庭用ミシンですと、コンピューター式の定番ミシン。価格は5万ぐらいのものを選んでおけば間違いないような気がします。
一方、職業用はと言いますと、、、「直線縫い」しか出来ないミシンです。ですが、フネの洋裁は直線縫いだけでOKだし、厚手の布地を使うので可能な限りパワーがある方が望ましい。
ということで、入手出来るなら職業用が一番だと感じます。
*ミシンの販売店*
ミシン業界は深い闇があるらしいです。ヨットボート界に負けず劣らず?です。
どういう事かといいますと、多くの家庭用ミシンは、メーカー吊るしのマシンがまず用意され、それを「特約店」専用として販売されています。また、その内部を微妙に変えて、大手洋裁店のオリジナルミシンとして専用品が何種類も売られています。事実上、機能も内部構造も同一のものです。更にはネット用としても同じ機種が名前を変えて売られています。
ただ、困ったことに、ミシンの修理をしようと思うと、メーカーに依頼しても直接は修理してくれないようです。「特約店に依頼してくれ」と言われるらしいのですね。
んで、ネット用の品物は特約店では扱ってくれないらしい・・・・要するに特約店か、大手洋裁店オリジナルミシンしか、修理や保守がままならない構造が出来ているようです。
その為、「ミシン修理店」というのが存在するようです。
非常に複雑怪奇です・・・・・。
*ミシンの価格*
これも深い闇があるようです。基本、定価があるのですが、凡そ4割引きぐらいで普通に売られています。かと思えば全く同じ内容のものが名前を変えて倍の価格で売られていたり・・・・。
でもまあ通常のお店での販売価格で5万円台の家庭用ミシンが普通に使うにはオールマイティに使えるようです。
*ミシンのメーカー*
沢山あるようでも、事実上は4社という気がします。
ジャノメミシン 国産の良いミシン作ってる気がします。
ブラザー 細かな機能が沢山ついてますが、パワーでいうと他社より微妙に弱い?
JUKI 職業用でのトップブランドです。家庭用のもやっぱり良い物が多いよう?
ジューキ ロックミシンの鉄板メーカー。職業用もJUKIと人気を二分。
尚、JUKIとジューキは元々同じメーカーだったのが喧嘩別れしてしまったらしい。
*で、、、何を買ったら良いのか*
私はジューキの職業用「エクシムプロ9600」というのを購入しました。
職業用の中で一番パワーがあるとのことが選択理由。
でも一般的には職業用はJUKIの「シュプールシリーズ」がトップ人気のようです。
新品ですと6万強~8万台で入手できるようです。
一つ古いTL-98SP(シュプール98)ですとオークションなどでも沢山出ています。
98型は職業用では定番中の定番みたいで、これを買っておけば間違いない製品のようです。ただ、1998年製らしいので、そろそろ保守部品も尽きてきているという噂も聞きます。
一方、家庭用ですと
JUKI エクシードシリーズF300
これは布の送りとモーターが非常に強力で、厚手の布を縫うなら非常に評判高いらしいです。価格は5万円半ばぐらいだと思います。
その他、ジャノメ・ブラザーにも定番商品があるのですが、ヨットの場合は厚手の布との戦いになるので、殆ど価格が一緒ならJUKI エクシードF300っていうのが良いよ・・と言われました。ネットでググッても非常に評判高いようです。
*販売店*
最初、全くの無知だったので指導料も込みと考えて、新宿の「ミシンプロ」さんに行って相談し、結局そのまま購入となりました。
でも1年経過した今でも正解だったとは思っています。値段も凄く安かったし・・・。
一方、修理メンテに不安を覚えネットショップで買うのは抵抗がありましたが、、、洋裁趣味として多用するなら兎も角、ヨットの修理やDIY程度なら(職業用なら)そうそう壊れることも無いような気がします。
それを考えると、「整備済み」などと書かれた中古がヤフオクなどに沢山出ていますので、そういうのでも良かったかも?
*シロートミシン男子の勝手な結論*
サンブレラ3枚重ね程度ならば家庭用ミシンでもそこそこ行けるんじゃないか?という予感がします。(やったことないので、あくまで予感です)
その一方、サンブレラ末端を三つ折縫いし、それに更に補強テープを縫ったりすると職業用でも「やばいかも」と思う瞬間が何度もあります。
そういう意味で、職業用ミシン買っておけば「諦め」がつきますね。
あと、糸の問題があります。
昔、KAZI誌で読んだのですが、国内某有名エンクロージャー製作業者のインタビュー記事ですが、起業当初に作ったドジャーが数年後に糸が切れてバラバラになるトラブルが相次いで起こり大変な事になった・・・とのことです。原因は糸が紫外線に負けて切れてしまった為です。
その為、耐UV糸を海外から仕入れ、それ以降トラブルが無くなったと書いてありました。
ですが、この糸が普通には手に入りません・・・ユザワヤとかに行っても聞いた事無いと言われますし、ネットでもそういう糸は殆ど見かけません。
唯一見つけたのがリパーブという糸。(木下資材さんで取り扱い有り)
ただ、これを使うためには太目の針が必要になります。
その針は職業用ミシンでも最大に太い針になります。(家庭用ミシンは太い針が使えません。というか物理的に存在しません)
つまり・・・・・そういう耐久性のある糸を使うためには針が太くなければならず、必然的に職業用ミシンを選択することになります。
逆に、そういうのは諦め、糸が弱くなったらまた修理をする・・・。厚手の場所は時間をかけて縫う・・・。多少の縫い目の大きさの変動(厚い布が来ると縫い目が狂う)は気にしない。という前提なら家庭用の5万円台のでいけるのではないかと。
あと、初心者が職業用なんて難しいんじゃないの?という疑問が最初ありました。
でも実際は逆ですね。パワーあるし、ミシンの構造がしっかりしてるからサクサク縫えて至極快適。フネ選びにこの辺り似ている感じです。1艇目は大きさにビビり小型艇を選択しがちですが、実際のところ大きい船のほうが楽なのに似ています。
なので、初心者でも職業用は全く問題無いです。
ということで、Alcyoneさま、、ご参考になれば幸いです。
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コメント
この記事へのコメントは終了しました。
ミシン、深いですねえ・・・
私もそのうちほしいなあ。
折角ですから生地が薄いジェネカーなどを縫ってみてはいかがでしょうか?
デザイン・色の組み合わせは好き放題ですよ~
投稿: Laputa | 2014年1月25日 (土) 14時28分
30年以上使ったミシンの買い替えに販売店に行きました。
説明を聞いて「ミシン業界の闇」が解りました。
販売店とネットでは型式や保守のルートがまったく別々のようです。
ネットの値段を取るか、販売店のアフターサービスを期待するか・・・
ポイントカードなど色々使って半額以下になったのでジューキHZL-FQ45買いました。
でもネットの同等品に比べると高いような・・・・
早急にボロボロにったマットフェンダーを作らねば。心材お風呂マットを帆布でくるんで作ります。
投稿: ニンニン | 2014年1月26日 (日) 14時03分
Laputaさん、こんにちは。
ジェネカーいいですね。丸々縫うのは自信が無いから、艇名を縫い付けて入れてみようかな・・・
ニンニンさん、こんにちは。
「ミシン業界の闇」は深いみたいですよね~。
ほんと買うまでに一苦労ニ苦労がありました・・・
マットフェンダーいいですね。楽しめそうですね。
投稿: Adagio | 2014年1月26日 (日) 21時09分
Adajoさんへ、
1月にAdajoさんからミシンについて教えて頂いたAlcyoneです。その後、ミシンを購入。ドジャーの作成にチャレンジしてきました。
Adajoさんへは、ドジャーの作成がある程度見えてから連絡と思いつつ、ブログでの返信の仕方がよく分からなかった事、1度ほとんど同じ内容でコメントをお送りしたのですが、送られていなかったようです。写真を載せられるのか不案内な事もあり、ドジャーが完成し、暫くたった今日に至ってしまいました。時間遅れの連絡で申し訳ありません。
ミシンの購入に結構時間を費やしたこと。ドジャーの作成は、素人には結構大変な、半端な仕事ではなかったこと。それと個人的な事情でドジャー作成に時間的な制限があった事。等でかなりの時間を要してしまいました。
AdajoさんにPhotosを見てもらおうと思っていましたが、残念ながらブログのコメント欄にはPhotoは掲載できないようです。出来るようでしたら、ご連絡ください。
出来上がりの具合を言葉で表現すると、キャンバスはマアマアの出来と思っていますが、Front PanelのVinyl Clear Windowが少し歪でます。
ウインチの方向へ、多くのシートが導かれているため、これを避ける必要がある事。それとハンドレール。これらがフロントパネルの形状を複雑にし、型紙取りを難しくさせ、フロントパネルに歪みが生じたものです。
私にとって初めての作品であり、又、素人にとってはこの辺が限界かなと思っています。多少の歪みはあるものの、本人は結構満足しています。
ソウソウ、購入したミシンについてお話するのが後れました。これもPhotoでお見せできなく、残念ですが。
Adajoさんから新宿のプロショップもご紹介いただき、此処ともやり取りしたのですが、日本でミシンを探す限り、直線縫いとジグザグ縫いが可能なヨット用に使用できるミシンは見つける事は出来ない。との結論に至りました。
と言うか、どうせある程度の費用を払うのであれば、ジグザグ縫いも可能なミシンを購入したいとの願望を捨てきれなかったのです。
そこで辿り着いたのが、Sailrite(米国のセイル関係の材料販売店、自社のブランドのミシンも販売している)のUltrafeed LSZ-1。
非常に強力で、今回サンブレラの7-8枚重ね、Window vinyl +サンブレラ+Binding等の非常に分厚い重ね縫いがありましたが、問題なく縫う事が出来ました。今回は、ジグザグ縫いは行いませんでしたが、無論可能です。これの携帯タイプは、海外の長距離航海者が愛用しているようです。
ちなみに、この値段は699$。重さが22kgと重たく、運送費も馬鹿になりません。私の場合、3月に購入したのですが、通関費用も含め、結局、日本円で8.5万ほど掛かりました。予算として5万を想定していたので、大分超過してしまいました。
ついでに、ドジャーの材料についてもお話ししておきます。私の場合ステンレスのフレームは、自分でステンレスパイプを国内で購入。これを油圧ベンダーで曲げ加工しています。
問題は、サンブレラ、VinylのWindow(ステングラス)等の材料の入手です。これもSailriteから購入しました。
米国のマーケットは進んでいて、ミシン用の糸から仮縫い用に使用する専用の両面テープまで含んだ、ドジャーの作成に必要な全ての材料をKitで販売しているのです。船の大きさによって夫々の材料の量は異なりますが。このKitのコストが488$。無論、輸送費、通関費用は別ですが。Kitには作成用のGuide BookとデモンストレーションのDVDビデオが含まれています。
Guide Bookとビデオをそれこそ何回も何回も繰り返し見て、理解しました。
結局、ステンレス材料、フィッティング、工具類、ドジャーのKit, これらに要した費用は12万+ 程度でとなりました。
以上ご報告します。
Adajoさんに教えて頂いた、ミシンの購入のイロハ。本当に有難うございました。もやもやしていた世界が少し見えるようになり、教えて頂いた内容を直接利用することはありませんでしたが、チャレンジして行く勇気をもらいました。
重ねてお礼申し上げます。
Alcyone
投稿: Alcyone | 2014年9月 5日 (金) 16時58分
こんにちはalcyoneさん、詳細な情報有難う御座いました。
ミシン、セイルライトのを輸入されたんですね。
実は私も後日そのミシンの存在を知り、実に興味がありました。
かなり強力なミシンのようなのですね。おめでとう御座いました。
あと、私も先日セイルライトからサンブレラ他の部材輸入してみました。
ウエストマリン同等の手軽さで購入出来ました。
今後、ミシンを駆使され更に色々な作品が増えていかれるのでしょうね。
それとコメントの方へ写真掲載はブログシステム上できないようです。
折角のお申し出、誠に申し訳御座いません。有難う御座いました。
投稿: Adagio | 2014年9月 8日 (月) 14時17分
Adagio 様
直流電気の知識すごいですね。私もスラスターやウインドラスの配線で太い線を張るのに苦労したことがあります。
さて、セールクロスやサンブレラを縫うミシンですが先輩の皆様がコメントしているセイルライト社のウオーキングフートタイプのミシンが手軽でよいようですが同じスペックのミシンが他社(数社)で半額以下で販売されています。またサンブレラを縫うのであれば家庭用ミシンでも問題ありません。
ミシン糸や針はベンブリッジのものを購入すれば問題ありません。一般的な針を使うとクロスを仮どめする両面テープの糊が針に付いて縫えません。私は41フィートのクルージング艇のメインスタックパックとスプレイフードを自作しましたが問題ありませんでした。なお、余計なことかもしれませんが日本以外では皆様がドジャーとかダジャーとか呼んでいるものはヨットなどのライフラインやプッシュピットとデッキとの間に張りコックピットを波や風から守る幕のことを言うようです。サンブレラはこれらのクロスの中で一番グレードの低いものでサンブレラプラスというグレードがその上のものですが信頼性は格段に良いと思います。値段もそれほど変わりません。生地の幅も2メートルまであるので大型艇のスプレイフードなどを作るのには便利です。スプレイフードの窓は0.5~0.8ミリくらいの厚さのポリカーボネイトの薄板を使うとビニールと比べて透明度が数段良いです。
投稿: | 2014年9月15日 (月) 15時40分
情報有難う御座います。今度セイルライトから輸入の際、サンブレラプラスをとってみます。あと、ポリカーボ0.5mmの情報有難う御座いました。次回ドジャーを修理の際にはアクリルかポリカの薄板を使えないか?と考えていたところでしたので決心がつきました
投稿: Adagio | 2014年9月17日 (水) 09時19分
ミシン男子です。
セールで、検索しました。
勉強になりました。感謝です。
投稿: うに・ちゃん | 2016年5月11日 (水) 11時49分
うに・ちゃんさま、カキコ有難う御座いました。
ご参考頂けた様でこちらこそ嬉しく思っております。
今後とも宜しくお願い致します。
投稿: Adagio | 2016年5月11日 (水) 12時13分